CHEF’S Sensitivity

Wakiya一笑美茶樓:脇屋友詞 WAKIYA YUJI

料理人としてだけではなく、RED U-35(日本最大級の料理人コンペティション)などの審査員をされている脇屋シェフ。様々な料理方法や食材を知り尽くし、味を見る目が豊かなシェフが九州の食材というものを見つめた時に、その魅力を伝え、いいものを育てていくためには、どんなことが必要かを聞きました。

食材を広めていくために必要なこと。

「生産者と料理人たちが実際に会って情報交換をする。話し合う。」という場所を設けること。例えば、「この鶏は何日で出荷させているのか」「餌はどんなものを使っているのか」などの説明を聞くことによって、初めて食材の良さが分かります。
直に会って選別することで、その食材の美味しい旬を知ることができます。生産者と会うことで、「その食材をこういう風に使いたい」「こうした方が良い」などのアイデアの掛け合いができます。

使う食材の物語を語れるか。
そのためには、生産者と直接会って話をすること。

私が以前、北海道の百合根生産者を訪れた時の話です。北海道の百合根は、他県に比べて金額が上がります。主に関西。次に東京に出荷していますが、「なんでここまで金額が上がるのか?もう少し金額を下げることで、もっと身近に百合根を食卓でも食べることができるのでは?」と思っていました。しかし、実際に生産者と話をして、分かったことがあります。百合根は、畑を1年ごとに変えていきます。それによって百合根が育つ土壌ができます。植え替えることによって、球根が育つのです。大きく育てるには、それだけ時間と労力とコストが、かかっていることを直接聞くと、その食材の価値が分かるし、食材の金額設定も理解できる。食材を育てるための物語を知れば、料理人の口からも食べてくれる人に伝えることができる。そのことを生産者とのコミュニケーションによって学ぶことができました。

食材が一番美味しい旬は、生産者がよくわかっている。
旬は、美味しいだけではなく、体に良い料理へと導く。

畜産物にはその人が育てる旬がある。農産物の場合は、自然の流れの旬がある。
作っている生産者とのやりとりがとても大切で、美味しいというだけでなく、体に良いというものも含めて、いい食材を使うことができ、それが料理の味へと繋がっていくと感じています。実際に私も、九州や関西、関東、北海道と食のイベントを通して、旬の食材の魅力を発信しています。生産者の思いや食材の魅力を知っていれば、それぞれの土地で、違う土地の食材の魅力をきちんと実感として伝えることができる。それが食への意識を高めると感じています。私は北海道出身ですが、北海道の場合は北海道自体がブランド的になっています。九州も、各県別の発信ではなく、九州で連結して発信するといいと思っています。例えば、宮崎の乾物と言えば?大分の乾物と言えば?九州全体で乾物を知ってもらうこと。また、その乾物に博多の鶏を合わせたらどうなるか?など掛け算しながら、九州全体で盛り上がるともっと食材に対する意識が上がり、良くなっていくと感じています。

CHEF'S PROFILE

Wakiya一笑美茶樓(いちえみちゃろう):オーナーシェフ 脇屋友詞(ワキヤ ユウジ)

脇屋氏の料理は、上海料理の伝統を軸に旬の素材をふんだんに取り入れた身体に優しい中国料理。こだわりの器に美しく盛りつけた料理は、日本人らしい繊細さとつややかさが表現されていると国内外から高い評価を得ている。五味(甘味、苦味、酸味、塩味、うま味)の調和が取れたコース料理、確かな技術から生まれるオーソドックスな中国料理は幅広い層から支持されている。

'02年よりアメリカやヨーロッパなど海外で行われているチャリティー活動に積極的に関わる。また'05年には世界の名だたる料理人が技と哲学をもって最先端の料理を披露するMadrid Fusion 2005(スペイン)、'11年にはWorld Gourmet Summit(シンガポール)に参加するなど世界に活動の場を広げている。

メディアでは、NHK「きょうの料理」をはじめとするテレビ番組や雑誌などを通して中国料理や中国茶の楽しさを広く伝えている。また、ワインにも造詣が深く、'05年には中国料理を通じワインの普及に貢献したとして日本ソムリエ協会認定名誉ソムリエに就任。'08年にはボルドー地方よりコマンドールの騎士号を任命される。'09年にはシャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士)の称号を受賞。名誉唎*酒師酒匠を受賞。

'08年厚生労働大臣表彰(厚生労働大臣)、東京マイスター(東京都知事)受賞。 '10年厚生労働省による卓越した技能者(現代の名工)受賞、'12年農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」ブロンズ賞を受賞。'13年料理人人生40周年を迎えた。

'14年秋の叙勲にて黄綬褒章を受章。

公式ホームページ https://www.wakiya.co.jp

福岡県 はかた地どりを使用

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