CHEF’S Sensitivity

Restaurant TOYO:大森雄哉 OMORI YUYA

熊本出身で、以前は、ハウステンボスや熊本の洋食店で経験を積み上げてきた大森シェフ。 九州出身であるシェフに九州食材についてや調理における食材の使い分けを聞きました。

いい料理には、
いい素材が必要。
いい素材に巡り会うには、
そこに関わる人とのコミュニケーションが大切になる。

以前、九州で料理をしている際は、九州の食材が当たり前だったので、九州の食材について正直あまり意識していませんでした。仕入れは師であるシェフがしており、そこに着いて行き、見て覚えるような感じでした。実際に東京へ来て自分で仕入れを行い、メニューをつくるようになって、「いい素材は、いい人との関わりが必要」であることを実感しました。会話の中で自分の好みに合ったものを知ったり、店の料理に合いそうな食材を見つけてもらったり、またその食材がメニューのヒントになることもあります。九州から離れて、九州の食材を意識するようになったかもしれません。

食材が活きるシンプルな料理を知って、 バリエーションを増やすことが大切。

今回は阿蘇のたかな漬をテーマに料理させてもらいましたが、最初は戸惑いました。たかな漬はそのものでおかずとして成立するので、どんな料理でも合うような使いやすい食材ではありません。そこで、どうすればもっと料理として使いやすくできるかを考えた時に、たかな漬を乾燥させるというアイデアが生まれました。乾燥させてもどすことで、さらなる食感が生まれます。火を入れて香ばしくした後に粉末にすることで、出汁やソースの風味づけとして使えます。たかな漬は“食感と味のアクセント食材”という考え方です。私は熊本出身なのですが、給食にも出ていたくらい高菜には馴染みがあります。食べ慣れているということもありますが、基本は、やっぱり高菜は油炒めが一番美味しいと思っています。シンプルなものが一番美味しい。それを踏まえた上で、どういう食べ方をすると美味しいのか。というアレンジをするとたかな漬の魅力が深まるかと思います。たかな漬は、乾燥することで、ご家庭でもアクセント食材として工夫できるので、ぜひいろんな料理に試してみてください。

素材を最大限に生かすシンプルな料理を。

店のコンセプトが「素材は宝石」と言うように、食材をできるだけシンプルに素材の力を損なわない形でお皿の上に表現しています。素材に最低限の調理を加えることで、素材自体が美味しさを出してくれます。味の引き出し方は、素材によって変えることです。例えば、今(10月)は旬のアカムツを使っていますが、アカムツは焼いても脂が抜けきれません。バターソースを使用するので、脂で重たくならないように柑橘系をかけて、調和させています。他にも鱧の場合だと、大きさによって、骨切りする時に差が出ます。800gほどの鱧を使用しますが、それ以上の大きさだと食感や身の締まりに違いが出ます。魚が大きい場合は、スープに使用するなど調理の仕方を変えています。うちのお店は、食材をストックするスペースが少ないので、お鮨屋さんのように仕入れを頻繁に行い、いい素材を使い切る流れです。市場に毎朝足を運んで、新鮮な魚をいつも見て決めていきます。素材に常に触れること。仕入れの際は、仲買人さんとの付き合いの中で、私の好みを抑えてもらっていますので、食材の味に大きなブレが出ません。そこに関わる人とコミュニケーションをとることは、本当に大切なことだと思います。料理の結果として出ますから。

CHEF'S PROFILE

Restaurant Toyo Tokyo(レストラン トヨ トウキョウ):大森雄哉(オオモリ ユウヤ)

1983年熊本県出身。2004年辻調理技術専門学校卒業。同年、㈱ハウステンボスホテルズ入社。アランシャペル氏の弟子の上柿元勝氏に師事。自然の恵みに感謝しつつ、お客様への感謝の気持ちを忘れずおごる事なく料理を創る。新鮮な素材をふんだんに使い心を込めた料理を創る。一流の料理人である前に、一流の人間であれと教わる。2008年大阪フランス料理エプバンタイユ入社。同年、熊本・洋食店 橋本入社。店主の哲学を学ぶ。食材に対してのアプローチ、火入れや塩加減は当然だが、それをお客様に対し向けるということ。お客様の年齢や、体調も含めベストの状態での料理をお出しする事。2015年TOYOプロジェクト参画。2010年渡仏RESTAURENT TOYOで中山豊光氏に師事。その後帰国。2015年TOYOプロジェクト参画。2017年3月再渡仏 RESTAURENT TOYOにて中山豊光氏に師事。 2018年3月RESTAURANT TOYO(東京ミッドタウン日比谷)シェフに就任。

公式ホームページ http://toyojapan.jp

熊本県
阿蘇のたかな漬を使用

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