関あじ

偶然の積み重ねが生み出す、大分の佐賀関品質。

大分県の佐賀関のあじが釣れる豊予海峡という海域は、瀬戸内海の水塊と太平洋の水塊がぶつかり合うところで、潮の流れが速く、餌となる生物が豊富に生息しています。海底が山脈のように入り組んでいて、アジにとってはいい隠れ家になっています。夏場は湧昇流という海水の上昇運動により、深層の栄養が表層付近まで運ばれます。潮が餌となるプランクトンを巻き上げてくれるのです。これにより魚は、豊富に餌を食べることができます。入り組んだ地形と潮の速さ、そして豊富な餌。佐賀関のアジやサバは、身が太く、引き締まっているのはそのためです。アジの食べごろは、本来、夏ではありますが、大きなサイズは冬の方が、脂がのっていて美味しくなります。関あじは、秋から冬にかけて脂肪分が10%くらいになります。一番適度な脂肪分10%ほどのアジが豊富に生息するのも佐賀関の漁場の魅力です。脂がのり過ぎてもくどくなるし、少なくてもいけない。関あじはコリコリとした身の弾力も大きな特徴ですが、他にも適度な脂で、程よく美味しい。だから、ここの地域の人たちは、昔から刺身でよく食べています。たくさん食べてもしつこくなく、飽きない身の質を持っているからです。それと、夏の青物に多く見られるアニサキスという寄生虫の数が、他の地域に比べて圧倒的に少ないのも関あじの特徴です。速い海域や地形の影響なのか、寄生虫が他の漁場に比べて少ないことも恵まれていると感じています。

年中、美味しいものは
溢れている。
でも、やっぱり、旬。
旬に勝るうまさはない。

知識と経験と人の手で、美味しさの質を持続する。

魚の下処理も徹底しています。冷却海水で綺麗に血抜きして、神経〆をすることで、最高の鮮度を保ちます。その日に釣った魚は、その日に送るのではなく、一度、生簀に入れて、次の日に処理します。ここでは、「新魚(あらいよ)」という呼び方をしますが、釣った魚はその日に食べるよりも、次の日がいいと伝えられてきました。釣りたての魚は、神経が荒くなり、ストレスを受けているので、乳酸値が上がっている状態です。だから、一晩生簀に入れて落ち着かせることで、乳酸値を下げて、美味しい身の状態にします。これにより、ねっとりとしたもちもち感ではなく、身がプリッとしまった本来の旨味がある状態を保つことができます。魚をしめてから、旨味の成分と言われているアミノ酸が出た後の8時間がピーク。釣った魚を落ち着かせるのは、魚の旨味を多く引き出すためです。鮮度、身の締まり、旨味の3拍子を引き出すところが関あじをはじめとした関モノの質に繋がっています。

魚にできるだけ
ストレスをかけない
ために。経験と感が
モノを言う。

※地域ブランドを適切に保護するために、本物の「関さば」「関あじ」には、佐賀関町の認定シールが必ず貼られています。

あじやさばはもちろん、関ものの魚は、必ず「活けじめ」という処理をします。これは、網ですくい上げて即座に包丁で脊髄を切断し、血を抜き、氷で冷やす作業です。一匹一匹手作業で、熟練も要する大変な作業です。全ての工程を徹底した上で、関ものブランドが成り立っています。

漁業者が釣って帰った魚は、漁協が買取り、生簀に収容します。この時、計量せずに見た目で重さを判断して、船の活け間からすくってすぐに生簀へと移します。これを「面買い(つらがい)」と呼びます。魚をすくって計りにのせたりすると身を傷つける原因になります。魚を痛めないために、目視でその魚の大きさを見極めて、サイズごとに選定します。これには熟練の目利きと経験が必要です。

佐賀関だから恵まれる魚。
恩恵への気持ちは意識を高め、ブランドを育て、ここだけの品質を守っていく。

佐賀関の恵まれた漁場だから存在する魚がいると思っています。それは、身の質が証明してくれます。佐賀関の人たちは、昔から一本釣りでやっていこうという意識が高いです。誰かが独占するわけではなく、一本釣りを大切にすることで、いい漁場や魚の質を守ってきました。その結果、水産品として全国で初めて商標登録が認められ、ブランド化に成功しました。ブランド化は魚を高く売るためが先行してはいけません。魚だけではなく、漁場や環境を守っていくためにブランド化があります。魚の質や漁場、漁師の意識を高めることが前提です。色々と苦労はありましたが、年月を重ねて今は、佐賀関の魚の良さを分かってもらえたと思います。例えば、マサバだと全国的にみても刺身で食べるところが少ない。さばは鮮度が落ちやすい魚だから、基本はお酢でしめる〆さばか、火を通さないと食べません。しかし、関さばの登場で、生で食しても美味しいマサバがあることを証明できたと思います。大分の大学の研究では、関さばの脂の量は1年中ほぼ一定しているという結果もあります。豊かな漁場をこれからも大切に受け継いでいく。私たちには佐賀関という誇りがあります。

最近は温暖化の影響か不漁のため、2017年は、平均で1隻あたり10本だったのが、2018年は1隻あたり2本程度。数が明らかに減っています。また困っているのが、サメ問題。水温の上昇のため、同じ海域にサメが居つく時期が長くなり、釣り上げている途中に、アジやサバがサメに食べられ、さらには、道具がダメになってしまう。それが結構な被害なのだとか。他にも以前いなかったゴマサバが入ってきて、アジよりも先にゴマサバが釣れてしまう。水温の上昇により、魚の動きや環境がかわってきているのは事実です。

魚ツウの太鼓判!超絶品!旬の関いさき

佐賀関では、イサキのことを「ハンサコ」と呼びます。
6月の麦刈りシーズンは、ムギバンサコいい、脂がのって、抜群に美味しいそうです。
「6月のイサキは、別格。」と太鼓判を押す佐賀関漁協の出田さん。魚を知り尽くした方が、関あじはもちろんだけど、個人的には、6月の関いさきは絶対食べて欲しいと言うのが、とても興味深い。

DATA 関あじ
地域団体商標登録団体 大分県漁業協同組合
公式ホームページ>http://www.otgyoren.jf-net.ne.jp/main/gyoren/index.html

【取材協力】 大分県漁業協同組合 佐賀関支店 大分県佐賀関市

水産物で全国初のブランド化に成功した大分県佐賀関の関あじ、関さば。漁獲管理から品質管理、加工から出荷まで関モノを全国に発信し、ブランドを守っています。

〒879-2202 大分市大字白木字秋の江574-5 TEL:097-575-0513

https://sekiajisekisaba.or.jp/

この食材は、日本が誇る地域食材です。
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